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第何次で何が通ったか — 12制度398回次で読む採択の傾向
公開 2026年9月7日 / 数字の測り直し 2026年9月7日
回次が変われば、様式も語彙も変わる
補助金の採択者一覧は、公募の締切回ごとに公表される。この締切回を回次という。当サイトは 12制度・398回次 を収録している。うち公開できる事例があるのは356回次。ものづくり補助金は第1次から第23次まで、事業再構築補助金は第8回から第13回までが手元にある。
同じ制度でも、回次をまたいだ集計はそのままでは成り立たない。公表資料の作りが回次ごとに変わるからだ。実際に手元の原本で起きていることを3つ挙げる。
列が増える。事業再構築補助金の採択者一覧は、第8回から第10回までが9列、第11回から10列になる。増えたのは「主たる業種(大分類)」だ。業種で絞った集計は、第11回以降にしか存在しない。
同じ値の書き方が変わる。その業種の列は、第11回が「卸売業,小売業」、第12回からは「卸売業、小売業」になる。区切りが全角カンマから読点に変わっている。文字列のまま数えれば、同じ業種が2つに割れる。
同じ列の埋まり方が変わる。認定支援機関名の欄が空の行は、第8回で7行(0.1%)、第11回で0行。ところが第12回は1,081行(61.7%)、第13回は483行(57.8%)が空になる。取りこぼしではなく、原本のPDFを直接開いても同じ数になる。支援機関別の実績を回次をまたいで並べれば、第12回以降だけが半分に見える。
ものづくり補助金でも同じことが起きている。第1次と第2次には「ブロック」列が無い。第3次から第9次にある「採択種類」列は第10次で消える。第11次で列名が「都道府県」から「都道府県名」へ、「認定経営革新等支援機関名」から「認定支援機関名」へ変わる。当サイトはこれらを原本の表記のまま無損失の層に残し、正規化の側で束ねている。
だから回次別に見る。以下は回次ごとに切ってから並べた数字だ。
事業再構築補助金 第8回から第13回まで
収録は6回次、公開事例15,663件。回次ごとの件数と交付決定額はこうなる。
| 回次 | 公開事例 | 交付額つき | 突合率 | 中央値 | 中央50% |
|---|---|---|---|---|---|
| 第8回 | 4,662 | 4,014 | 86.1% | 1,878万円 | 996万〜2,636万円 |
| 第9回 | 3,074 | 2,601 | 84.6% | 1,928万円 | 998万〜2,753万円 |
| 第10回 | 3,678 | 2,902 | 78.9% | 1,497万円 | 944万〜2,000万円 |
| 第11回 | 1,810 | 1,467 | 81.0% | 1,500万円 | 979万〜2,000万円 |
| 第12回 | 1,655 | 687 | 41.5% | 1,635万円 | 1,093万〜3,000万円 |
| 第13回 | 784 | 66 | 8.4% | 2,533万円 | 1,500万〜4,000万円 |
前の回との差を取る。第8回から第9回で1,588件減り、第9回から第10回で604件増え、第10回から第11回で1,868件減る。その後は155件減、871件減。最大の第8回と最小の第13回で5.9倍違う。
交付額の中央値は、第9回の1,928万円から第10回で1,497万円へ432万円下がり、そこから第13回の2,533万円まで戻る。ただし第12回の687件・第13回の66件は突合できた母数そのものが小さい。突合率は第8回の86.1%から第13回の8.4%まで落ちていて、これは交付決定が採択のあとに行われるためだ(記事①「補助金は、結局いくら出るのか」§6と同じ数字)。第12回・第13回の中央値は、いま突き合っている一部の中央値として読む。
地域の構成は動く。東京都は第8回14.0%、第10回19.3%、第12回11.6%、第13回15.6%。6回のあいだに7.7ポイント幅で振れる。一方で大阪府は10.7%〜11.8%の範囲を6回とも出ない。愛知県は8.6%から10.1%へ上がる。
テーマの構成比はもっと大きく動く。既存の25分類のまま、第8回と第13回を比べる。
| テーマ | 第8回 | 第13回 | 差 |
|---|---|---|---|
| 飲食 | 14.6% | 4.0% | −10.6pt |
| EC・販路開拓 | 17.9% | 10.9% | −7.1pt |
| 観光・宿泊 | 12.2% | 9.7% | −2.5pt |
| 金属加工 | 12.7% | 19.1% | +6.5pt |
| 半導体・電子部品 | 4.5% | 9.2% | +4.7pt |
| 再生可能エネルギー | 1.8% | 6.2% | +4.4pt |
| 省エネ・環境 | 7.0% | 11.3% | +4.2pt |
| 試作・開発 | 16.7% | 20.3% | +3.6pt |
| AI・データ活用 | 2.2% | 5.8% | +3.6pt |
飲食は第8回から第11回まで13.1%〜14.6%の範囲にあり、第12回で6.7%、第13回で4.0%になる。逆に金属加工は第10回の11.0%から第12回で21.2%へ上がる。第11回から使えるようになった業種の列で見ても向きは同じで、製造業は第11回33.8%、第12回47.0%、第13回39.6%だ。
ものづくり補助金の直近5回次
この制度では交付額を出せない。全23回次41,420件のうち交付決定額と突き合っているのは200件で、そのうち175件が第19次に集中している。1回次の中央値を出せる母数がどの回次にも無い。件数とテーマだけを出す。
| 回次 | 公開事例 | 公式の採択者数 |
|---|---|---|
| 第19次 | 1,592 | 1,698 |
| 第20次 | 755 | 825 |
| 第21次 | 592 | 638 |
| 第22次 | 550 | 582 |
| 第23次 | 420 | 448 |
5回次のあいだに、公式の採択者数は1,698者から448者へ減っている。当サイトが収録している行数は5回次とも公式の採択者数と一致し、表の公開事例が少ないのは個人事業主を外しているためだ(順に106件・70件・46件・32件・28件)。
テーマの構成比は、事業再構築とは別の向きに動く。
| テーマ | 第19次 | 第23次 | 差 |
|---|---|---|---|
| AI・データ活用 | 9.6% | 20.1% | +10.5pt |
| EC・販路開拓 | 7.7% | 11.9% | +4.2pt |
| DX・業務システム | 20.0% | 24.0% | +4.0pt |
| 金属加工 | 18.8% | 12.3% | −6.5pt |
| 試作・開発 | 32.2% | 22.0% | −10.2pt |
AI・データ活用は9.6%から20.1%へ上がり、試作・開発は32.2%から22.0%へ落ちる。地域では大阪府が第19次4.2%から第23次10.5%へ上がる一方、東京都は5回とも18.9%〜22.0%に収まる。
なお第23次は、公式の発表では製品・サービス高付加価値化枠418者とグローバル枠30者の合計448者になる。枠の内訳は採択者一覧のPDFには入っていないので、当サイトも枠では分けていない。
計画名の語は、回次の境目で入れ替わる
事業計画名に含まれる語を回次別に数えると、変化は連続しない。境目がある。
事業再構築補助金の境目は第9回と第10回のあいだにある。計画名に「新分野展開」を含む割合は第9回11.7%から第10回3.3%へ落ち、代わりに「新市場進出」が0.1%から6.3%へ現れる。同じ境目で「業態転換」は2.3%から0.3%、「コロナ」は3.4%から1.5%(第13回では0.6%)になる。語の水準で見ると、「展開」19.7%→11.1%、「進出」7.8%→17.4%、「市場」4.2%→14.1%。1回次を挟んで計画名の骨格が入れ替わっている。
第8回から第13回にかけて、境目とは別にじわじわ動く語もある。「AI」0.8%→4.6%、「インバウンド」0.3%→3.8%、「製造」16.9%→26.8%、「部品」7.4%→13.1%。減るほうは「販売」12.9%→8.0%。
ものづくり補助金の境目は第17次と第18次のあいだにある。「生産性向上」を含む計画名の割合は、第1次から第17次まで一度も11.5%〜17.0%の外へ出ない。それが第18次で7.6%、第19次で3.4%、第23次で1.4%になる。同じ第18次で「開発」が14.1%(第16次)から29.2%へ上がり、第23次には37.6%になる。「AI」は第1次の1.6%から第17次の3.8%までゆっくり増え、第18次で6.7%、第23次で15.0%。「DX」は第1次に0件で、第9次の1.7%から第10次で5.1%へ跳ね、そのあとの13回次は3.3%〜5.0%の範囲を出ない。
第17次だけは形が違う。この回は採択者数185者と極端に小さく、「省力」を含む計画名が25.8%、「自動化」が29.7%、「省人」が12.1%を占める。他の22回次では、この3語はいずれも5%を超えない。回次を平均すると、この回の顔は消える。
分類のタグ体系(25語)はこの記事のために変えていない。上の語は計画名の文字列をそのまま数えたもので、タグとは別の見方だ。
第13回の一覧は、945行から835行に減っている
事業再構築補助金の全国統合版一覧は、辞退・取消を反映して毎月作り直される。当サイトが持っている第13回の原本は、基準日で2026年6月15日時点が945行、7月15日時点が873行、8月14日時点が835行だった。第12回は1,752行から1,751行へ1行減り、第8回から第11回までは持っている全ての版で行数が変わっていない。消えた行は取消として残してあるので、その総数は111件になる。採択者一覧は名簿ではなく、その時点で有効な行だけが載った生存リストだ。この件は別の記事「採択者一覧は、あとから書き換えられている」で扱う。
直近の回次を自分で確かめる3ステップ
- 制度のページを開く。ものづくり補助金は
/seido/monodukuri/、事業再構築補助金は/seido/saikochiku/。収録している回次の数、地域とテーマの内訳、交付額が突き合っている件数が出ている。 - 回次で絞って計画名を読む。
/ichiran/?program=monodukuriから地域・テーマで絞り込み、事例ページに出ている回次を手がかりに直近の回を拾う。テーマで絞れば、上の表で伸びている分野の計画名がまとめて読める。 - 公式の採択者一覧に当たる。ものづくり補助金は portal.monodukuri-hojo.jp/saitaku.html の表から、締切回ごとの採択者一覧PDFへ行ける。事業再構築補助金は jigyou-saikouchiku.go.jp/result.html に回ごとの結果とPDFが並んでいる。当サイトの数字と食い違ったときは、公式が正しい。
この数字が届かない範囲
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この数字は2026年9月7日に測ったものだ。当サイトは交付情報を毎日足しているので、同じSQLでも日を置けば数字は動く。サイトの他のページはビルドのたびに測り直しているため、この記事の数字とわずかにずれることがある。
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公式の件数と突き合わせているのは50回次だけ。公式値を記録している取得先は9つで、その50回次すべてで収録件数の乖離は0.00%だ。内訳はものづくり21回次、事業再構築6回次、持続化3回次、新事業進出3回次、省力化6回次。残りは成長加速化2回次、大規模成長投資5回次、持続化共同・協業型2回次、Go-Tech 2年度。IT導入補助金・SII省エネ補助金・東京都公社・gBizINFO・持続化補助金の商工会地区については公式値を記録できておらず、収録率を出していない。
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その「公式値」の意味はソースで違う。ものづくり補助金・新事業進出補助金・省力化投資補助金などは公式発表の採択者数そのもの。事業再構築補助金は公表一覧の行数で、公式発表の採択者数(第8回6,456者〜第13回1,101者)に対しては75.8%〜86.2%にとどまる。
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交付額の突合率は新しい回次ほど低い。事業再構築補助金で第8回86.1%、第13回8.4%。ものづくり補助金は全23回次で200件(0.5%)しか突き合っていない。回次別の中央値をこの制度で出していないのはこのためだ。
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回次の付かない事例が6,448件ある。そのうち6,292件は事業再構築補助金の交付情報で、金額はあるが事業計画名と回次が無い。上の回次別の表には入っていない。
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これは生存リストだ。公表資料は差し替えられる。当サイトが把握している取消は111件で、第13回に110件、第12回に1件。
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個人事業主は数に入っていない。公開する集計・一覧・エクスポートのすべてから外してある。この記事の数字は法人・団体だけのものだ。
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傾向の理由は書いていない。上のどの数字も「何が増えて何が減ったか」までで、なぜそうなったかは当サイトの保有データからは決められない。
この記事の数字はすべて、当サイトが収録する公表資料から自分で集計したものです。集計に使ったSQLと出力は当サイトで保管しており、数字の根拠のお問い合わせにはこれをもとにお答えします。誤りにお気づきの場合はお問い合わせからご連絡ください。
出典(一次情報)
制度の内容・締切・要件は変わります。申請の前に、必ず自分が出す回次の資料を公式サイトで確認してください。